関内司法書士事務所BLOG

今日は「無駄なく効率的に」と考えるのはNG

20210210

 自筆証書遺言保管制度という新しい制度が7月10日から始まっています。この制度は自筆証書遺言を法務局に保管する制度です。

 従来自筆証書遺言は、自分で作成したものを、自ら保管するものであるため、せっかく作成したのに紛失してしまうリスクのあるものです。これを従来型の自筆証書遺言ということにします。自筆証書遺言保管制度が創設されたからといって、従来型の自筆証書遺言というものが、この世から姿を消したわけではありませんが、法務局に保管してもらうことで、紛失のリスクはなくなったといっても過言ではないと思います。

 僕が後見人になっていた案件で、配偶者に先立たれたのですが、ざっくりというと「遺言があれば相続手続はしやすいのに」(法定相続人が非常に多い)という案件で、公正証書遺言がないので、「自筆証書遺言」の存在にかけたことがありました。ゴミ屋敷とまではいえないけど、それなりに物であふれかえっていたご自宅の中で散らばっているゴミとそれ以外のものを選別しながら、足繁く、そこへ通いつづけて・・・なんと自筆証書遺言をしまった場所が記載されている「メモ」を発見。それを頼りに、探し続けてやっと、自筆証書遺言がみつかった・・・という経験をしたことがあります。

 従来型の自筆証書遺言だと、保管場所等によっては、このように大変な事態になったりもしますが、新しく創設された自筆証書保管制度だと、関係相続人等(受遺者や遺言執行者等)に、遺言者が遺言保管所に保管していることを知らせる仕組みが設けられました。そのことで、紛失のリスクがなくなったというものです。

 ただ、「自筆」証書遺言ですから、 財産目録の例外が設けられたとはいえ(注意事項参照)基本的には全文を「自ら書く」ものです。ですので、あまり内容の濃いものをお考えであれば、やはり公正証書遺言がおすすめであるとは個人的には思います。また公正証書遺言も長年公証役場が保管してくれていて、全国どの公証役場でも、遺言の存在を「検索」することのできる仕組みがあります。実際に、その検索システムをつかって遺言書がみつかったことも経験したことがあります。

 どっちが優れているかというと、それは何とも言えないですが、自筆証書遺言は費用があまりかからない、公正証書遺言はそれになりにかかるといったように、費用対効果というのでしょうか、その観点から両者を比較するのはナンセンスだとも思います。

 お悩みがありましたら、お近くの司法書士事務所にアクセスしてみてください。きっと司法書士は、お力になれると思いますので。